コントラバスアンサンブル編曲について

先日行われた「コントラバスが集まっちゃったコンサートinいずも」の編曲を依頼されたのは今年の4月下旬の事であった。

 

曲目は「ニュルンベルクのマイスタージンガー第1幕への前奏曲(以下、マイスタージンガー)」と「象さん変奏曲」。

 

「マイスタージンガー」はご存知ワーグナーの壮大な曲で、演奏時間も10分前後ある。

いくら名曲でもコントラバスアンサンブルでこの曲をそっくりそのまま編曲、演奏するのには無理があるのは想像がつくだろう。

そこでカット(省略)を念頭におき、編曲作業を進めた。

パート割りは1〜6番まで。そして打楽器(特別出演)が入る事になっていた。打楽器については、演奏場所の関係からトライアングルとなった(個人的にはティンパニがよかったが…)。

パート割りを先に決めたのは、他の曲との兼ね合いもあるためで、はっきり言うとこの曲に適しているとはあまり思えない。

調は原曲のままにした。なぜなら、実際の曲のコントラバスパートが後半16分音符や3連符で激しく動き回り、ただでさえ練習時間が短いのに、この曲のためにそれを移調して演奏しろというのは酷な話であるからだ。

 

実際に編曲をすすめて行くと非常に興味深いことが見えてくる。ワーグナーのオーケストレーションって、意外と強引で簡潔。この曲だけかもしれないし、私が気付いてないだけかも知れないけれども。

音のぶつかりなんかへっちゃらで、各パートが自分の役割をすべく突き進む、という表現をすればいいのかなあ。

あとは、音の数が少ない。シンプル。スコアを見てもわかるように、多くの楽器が同じ声部を担当している。

この2つの事象には結構悩んだ。

コントラバスが20本以上で演奏するのだ。

音のぶつかりが多くて、シンプル、という事は…ぐちゃぐちゃもごもご(うまく表現できないが)の演奏になってしまうのではないか…

これをワーグナーさんは見事な楽器の扱い(オーケストレーション)で華々しく聴かせているわけだ。

 

というわけで、6番パートはほとんど原曲のコントラバスパートを弾いてもらう事にし、5番パートも6番と多くの箇所を同じにして低音の迫力を出す事とした。また、5、6番には5弦楽器(普通のコントラバスは4弦)の方もいるだろう、とDの音もつかった。

 

そして、ごちゃごちゃもごもごになるのをふせぐため、1番2番にはかなり高い音を担当してもらうこととなった。

1番と2番はト音記号が許されていたため、1番はト音記号の上第1線のAまで使う事になった。あとはハーモニクスでも使うより他ない、とは思っていたが実際に使用した最高音はそこまででとどまった。

 

とはいえ、後半になると6番パートもかなり高い音を弾いている(原曲がそう)。1〜6までがひしめき合う箇所もあったが、高い音という事もあったのだろう。モゴモゴ感はそうでもなく、逆に「全員必死→迫力の演奏」になった(結果論)。

 

中間部の静かな場面では、2〜5番はピチカートを使ったが、これが意外によく響く…。

幸い、指揮もさせてもらったので、音量のバランスを取りながら(かなりピチカートを抑えてもらった)いい感じに仕上げて行く事ができた。

 

結局、ワイドに音を使う事や音量のバランス、そして速度のメリハリをつける事で今回の演奏はうまくいった。もっといい指揮者ならもっといい演奏になっていただろうけど。

 

最後にトライアングルが絶妙にテンポをとってくれて、指揮を助けてくれた。ただ申し訳なかったのは出番が少なかったことだ。

 

2013.9.19 上萬雅洋

 

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